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どちらも関西にあり有名私立大学だが、特色が異なる。
知名度でいえば耀平の出身校のほうが全国的に知られている大学だった。
「花南さんは、お父さんから大学についてなにか聞いておりますか」
「夫がこの子にと望んでいる大学は……。学歴というよりも卒業後、関西で仕事をする上で優位だと聞かされています」
「そうですね。学歴となれば、航君が望んでいるお父さんの出身校が有名です。関東にでられるならその名で有利といえば、有利です。ですが、倉重さんはご実家がリゾート観光業。お父さんがお仕事をされてきて、その学校の出身であればお仕事的に関西では有利と考えているようですね」
カナにはさっぱりわからない。学歴で決まるとか、出身校で仕事が左右されるとか。どっちであっても同じ、なにをするにも自分次第ではないかと思う。
それでも。倉重の家業を必死で支えてくれた耀平がそれまでどんな苦労を積んできたか。カナは知り尽くしてはいない。出身校が上であっても、関西圏寄りで仕事をするならば、その出身校の横つながりの強さもあるのかもしれない。
「あの、航がもし、父親とおなじ大学を受けるのならば。それはそれでまったく学力的には問題がないのですか」
「偏差値的に問題はないのですが、お父さんがご希望されている大学の方が確実ですね」
「わかりました」
カナはそれだけ聞いて、先生が言わんとしていること、耀平に伝えて欲しいことがなんなのかわかったような気がした。
「航と主人にもう少し話し合ってもらいます」
「そうですね。早く定めた方がよろしいと思います。とくに、お父さんの出身校を受けられるのならば」
再度、カナは『わかりました』と頷いた。
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