【4】ちーママさん(カナ視点)

22/22
前へ
/342ページ
次へ
「千花、おっぱい飲もうね」  ぐずる娘を抱いて、カナは夕暮れに染まるベッドルームにもう一度戻った。  夕の風が優しく入り込んでくる窓辺、そこにあるいつものカウチソファーに座って、千花におっぱいを飲ませる。  薄暗くなった部屋だけれど、夕なずむ空の色がカナと千花を優しく包みこむ。  ベッドサイドには、カナが山裾で見つけてガラスに生けたホタルブクロが揺れている。  カナ、綺麗ね。かわいいわね。  薄暗いそこに、姉の声を聞いた気がした。  そういえば、もうすぐ帰ってくる季節だと気が付いた。
/342ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2270人が本棚に入れています
本棚に追加