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「千花、おっぱい飲もうね」
ぐずる娘を抱いて、カナは夕暮れに染まるベッドルームにもう一度戻った。
夕の風が優しく入り込んでくる窓辺、そこにあるいつものカウチソファーに座って、千花におっぱいを飲ませる。
薄暗くなった部屋だけれど、夕なずむ空の色がカナと千花を優しく包みこむ。
ベッドサイドには、カナが山裾で見つけてガラスに生けたホタルブクロが揺れている。
カナ、綺麗ね。かわいいわね。
薄暗いそこに、姉の声を聞いた気がした。
そういえば、もうすぐ帰ってくる季節だと気が付いた。
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