2268人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうだよー。工房で汗まみれのママだし、わたしだって舐められてべとべとになるのやだし、千花だって楽しそうだけどそんなママの髪を舐めてばかりのくせがついたら大変じゃない」
「それはそうだ。そうか……そうだったのか」
帰るなり茫然としてそのままの夫を義兄を見て、カナがちょっと拗ねた顔になる。
「あ、わかった。耀平兄さん、古めかしいところがあるから、長い髪でなくなってがっかりしているの?」
そう言われ。ぼうっとしていた耀平は手に持っていたスーツケースと手荷物をドンと床に置き、黒いコートを着たままカナへと向かっていく。
「に、兄さん?」
ややたじろぐ彼女の目の前に来た耀平は、そのままぐっと彼女を自分の身体へと抱き寄せる。
そのまま顎を掴みあげ、有無も言わさずにくちびるを奪った。
「っん、……んん、に、にい……」
戸惑う花南のくちびるを吸う、熱く濡れたそこをさらに舌先で愛撫した。恋しかった分、彼女が甘かった日のことを思い出すように、花のショコラを欲望のまま食べ散らかすように、耀平は彼女のくちびるを舐めて吸って奥まで貪って。
「んっふ、に、兄さんたら、もう」
そしてカナもすぐに応えてくる。今度は彼女も帰りを待っていた夫を甘く確かめる。舌先でのキスでは足りなくて、義妹の手が耀平のコートの奥で這う。彼女の手先が器用に襟元のネクタイを緩めてしまう。ボタンを開けて、そこに熱いキスをして吸ってくれる。
「やだ、どうしちゃったの。兄さんの出張なんてしょっちゅうだし、普段だって本社と山口の自宅と数日離れているじゃない」
帰ってくるなり、なにを燃えているの? 妻からの問いに、耀平はやっと燃えさかった気持ちを鎮めて、胸元で甘えているカナの黒髪を撫でる。
最初のコメントを投稿しよう!