⑤ほっこりお嬢様

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「ありがとうございます。親方。覚えていてくださったんですね」 「花南が買ってきて、食べきれないからとよく分けてくれただろう」 「今日も、一緒に食べてくれますか」 「いいよ」  潔が腰を掛けているソファーの向かい側に、花南と夫の耀平が並んで座った。  ティールームのスタッフが、社長夫妻となるふたりにも紅茶を頼まれ持ってくる。  花南がそこでお土産をすぐに開けて、テーブルに広げた。  小樽ではないけれど。あの時のまま。  懐かしい彼女と、あの時とおなじお菓子を一緒につまむ。  でも、そばにあるのは明るい金春色の海。  変わらないものと、新しいものが、いま潔を包んでいる。
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