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「ありがとうございます。親方。覚えていてくださったんですね」
「花南が買ってきて、食べきれないからとよく分けてくれただろう」
「今日も、一緒に食べてくれますか」
「いいよ」
潔が腰を掛けているソファーの向かい側に、花南と夫の耀平が並んで座った。
ティールームのスタッフが、社長夫妻となるふたりにも紅茶を頼まれ持ってくる。
花南がそこでお土産をすぐに開けて、テーブルに広げた。
小樽ではないけれど。あの時のまま。
懐かしい彼女と、あの時とおなじお菓子を一緒につまむ。
でも、そばにあるのは明るい金春色の海。
変わらないものと、新しいものが、いま潔を包んでいる。
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