55人が本棚に入れています
本棚に追加
「ナマコ石鹸、毎日使ってるのか?」
「え? うん。常陸のマレーシア土産だろ? 毎日使ってる」
「全身に?」
「うん」
「なるほど。この辺りの触れ心地が違うように感じるのは、そのせいか?」
「ひゃっ」
「うん。確かに、滑らかな感触が手のひらに当たる。常陸にナマコ石鹸を頼んでおいた甲斐があった」
「えっ? ちょっ、何? 常陸に頼んだって言った? あの石鹸を?」
お前が?
ベッドになだれ込んだ直後。まだ湿ってる肌を撫でながらの恋人の言葉に、声がひっくり返った。
「あぁ。常陸がマレーシアに仕事で行くと兼子から聞いて、土産に買ってきてやってくれと俺が頼んだ。一度、使ってみたいと、お前、言っていたろう?」
「言った。でも、だいぶ前だよ。それを覚えててくれたん?」
「お前が望んだことは忘れない」
うわぁ……!
「あ、ありがと」
うわぁっ。うわーっ!
脳内で雄叫びを上げながら、かろうじて短い御礼だけを発した。
俺の恋人は、こういうとこがあるんだ。普段めっちゃ淡白なくせして、ここって時に特大のキュン爆弾を放り込んでくるんだよ。
全く! この、ときめき泥棒め!
「いつもありがとうな! こんな嬉しいサプライズ。好きと萌えが溢れて、毛穴という毛穴から鼻血が噴き出ちゃいそうになるだろ!」
「いや、鼻血は毛穴からは出ないぞ」
「え? 俺、口に出してた?」
「そこが良い。どんなことも、言葉と表情で俺に教えてくれ」
「あっ……やぁっ」
好きと萌えでテンションも体温も上がった身体を這う指が、遠慮のないものに変わった。
「特に、俺の下で聞かせてくれる可愛い声が、一番好きだ」
「んはっ……んっ」
俺も好き。
だから、一緒に気持ち良くなろうよ。
最初のコメントを投稿しよう!