「セブンデイズ」

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以下は山中の建設跡地から見つかった、ビデオカメラの映像記録である。 (唐突に始まる録画映像…ゴミや廃材、瓦礫が散乱する建物内を進む撮影者と、画面を歩く人物“先輩”撮影者が、そう呼んでいるので、そのまま表記する) 撮影者:「先輩、ホントに大丈夫なんですか?」 先輩:「あーっ?何度も言わせんなよ?〇〇〇(撮影者の名前と思われる)大丈夫だって!もう、平気だからさ。もう、工期がだいぶ押してんだ。さっさと終わらせっぞ」 撮影者:「だって、ヤバいっすよ。竹下と神谷のやつ、さっきからLINEにも既読つかないし、通話も駄目。絶対、可笑しいすよ」 先輩:「ごたごた抜かすな。とにかくさ。アレだよ。なんだっけ?7日、7日経ってんだよ。上がそう言ってんだ。だーから、大丈夫だよ」 撮影者:「7日って何すか?」 (呟く撮影者を余所に、先輩が先に進み、ドアを開ける。ドアの上には“祈祷室”と書かれた名札がついている。錆びた音を響かせ、開いたドアの先には、明かりもない暗闇が広がり、撮影者の悲鳴が上がる) 先輩:「うっせぇな!デカい声だすんじゃねぇや。ナイトビジョンだ。暗視カメラ、機能付いてんだろ?点けろ!」 撮影者:「は、ハイ」 (カメラを操作する音が響き、緑色の室内、並べられた建設道具や投光器などが映し出される) 先輩:「あー、何だ。アイツ等、サボりかぁっ?(撮影者のカメラを覗き込みながら)参ったな。これだから、派遣は。臨時手当弾むって言ったのによ?」 撮影者:「でも、2人の勤務態度、真面目でした。現場放棄なんて、可笑しいっすよ。そもそもウチだって、何でこんな怪しい場所の解体…」 先輩:「オイッ!そこまでだ。アレだよ。夏の狙撃事件…あれで上と繫がりのある団体が色々不味くなったんだよ。だから、とっとと解体しちまえとさ」 撮影者:「だからって、こんな所…うわっ、何だ。何だ…」 (映像横に撮影者の悲鳴と白い動き回る影が一瞬映る。) 先輩:「何だ。オイッ、何だ?」 撮影者:「何か変なモンが。うわ、うわわわわわわわ」 (先輩を映した映像、背後に先程の動きまわる影が映り、どこかに消える) 先輩:「悲鳴ばっかで訳わかんないぞ?何が映ってんだ?オイッ」 撮影者:「し、白い影が。何か動き回るモンが、で、出ましょう。ここ、不味いっすよ」 先輩:「あ、ああっ、それか。それなら大丈夫だ。もうな。浄化をして7日経ったから大丈夫って言ってた。上が」 (緑色の表情を緩ませ、両手を妙な形で組む先輩…撮影者の悲鳴が重なる) 撮影者:「な、な、なんなんすか?一体、その手?7日?わ、わああああ、先輩」 (先輩の顔に白い影が覆いかぶさる) 撮影者:「せ、先輩!先輩!」 先輩:「だ・い・じょ・う・ぶ・だ!な・の・か・たってててて・んだ。も、ももももんだいなななない」 (喋る先輩の口に白い影の腕が入り、舌を引っ張り出す。ゴムを千切るような音、撮影者、悲鳴を上げて、外に飛び出す) 撮影者:「うわああああああ、あー、あー、あああああ!」 (廊下を走る撮影者。瓦礫に足を取られ、転ぶ。勢いよく転び、床を映し続けるカメラ) 撮影者:「ひ、ひいいいいっ」 先輩?:「(明らかに違う声だが、口調は同じ)大丈夫だぁ~っ、7日、 7日経ってるからぁああああ」 撮影者:「ああああああーっ」 (何か重い音を引き摺る音と撮影者の悲鳴、何度も7日を繰り返す先輩の声が遠ざかり、誰かがカメラの画面を壊す音と共に、映像はブラックアウト…記録は終わっている)…(終)
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