ともだち

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ともだち

「ライー!どこに行きおった、まったく。さぼってばかりで」  先輩の見習い天使や見習い天使たちの先生は、見習い天使のライが授業をさぼってどこかに行ってしまったのに、困り果てていました。  ライはいたずら好きな見習い天使で、勉強は大嫌い。いつも目を盗んで逃げ出しては、遊びまわっています。 「果樹園でりんごも食って腹いっぱいだし、ペガサスの厩舎は見張りがいるしな。今日は何をしようか」  ライはぶらぶらと歩いていましたが、ふと、地上に降りてみようと思い立ちました。 「よし!」  地上へ向かって虹の階段の手すりを滑り降り、ライは勢いよく地面に降り立ちます。  北風がピューピューと吹いており、木はすっかり葉を落としていました。歩く大人は寒そうに背中を丸めてせかせかと歩き、日向ぼっこしていた猫は一度ライを見たものの、すぐに興味を無くしたように丸くなって居眠りに戻りました。 「ここはどこだ?」  ライは羽をしまって人間の子供のフリをすると、辺りを探検してみる事にしました。  神社の石段にはお年寄りが集まって雑談しており、どんぐりの転がる公園では小さい子供が砂遊びをしたりブランコをこいだりしています。  賑やかな方へと歩いて行くと、たくさん店が並んだ商店街があり、あちらこちらにクリスマスツリーが飾られていました。 「ああ。クリスマス、もうすぐだもんな」  天界ではクリスマスの時には見習い天使も上級天使も全員が集まってお祝いをするのですが、地上でもクリスマスのお祝いをすると聞いているのを思い出しました。 (そりゃあ、神様の誕生日だもんな)  ライは納得して、もっと先へと歩いて行きました。  やがて、広いグラウンドに出ました。  そこには今のライと同じくらいの子供達がいて、ボール遊びをしていました。 「お、何か面白そうなことやってるぞ。おおーい!」  ライは大声を上げて子供達の方へと走って行きました。 「何してるんだ。オレも混ぜてくれよ」 「いいよ。オレ、はっちゃん」 「ぼくはもっくんでいいよ」 「ぼくはとんとん。お前は?」 「オレはライ」  ライはそう名前を言い、彼らとすぐに仲良くなりました。 「じゃあ、2チームに分けて、対戦な。ゴールはランドセルの間」  地面の上に四角く線を引き、ランドセルを向かい合わせに2つずつ置いて、サッカーです。 「よし、じゃあ、スタート!」  ボールを蹴って走り、ひょいと奪い、追いかけます。  ライもすっかり楽しくなって、時間が経つのを忘れて遊びました。  やがて辺りは薄暗くなり、もっくんが 「そろそろ帰らないと」 と言い出して、すっかり時間が経っているのに気付きました。  ランドセルを背負いながら彼らがライに訊きました。 「明日も遊ぼうぜ」 「おう!約束な!」  ライはすっかり嬉しくなって、彼らと手を振って別れました。  
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