序章

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 千咲が残していったぬいぐるみを燃やしたあの日から、幾度と無く【ひとりかくれんぼ】をした。  千咲に会えるかもしれない。千咲本人で無くとも、千咲を連れ去ったアレに会えるかもしれない。爪、体毛、唾液、血液、肉。全て試してみた。けれど、来るのは全く関係の無い霊ばかりだった。 「闇に堕ちた者は簡単には救えないんだよ」  祖母の言葉が胸に刺さる。簡単では無いのはわかっている。でも、諦めるわけにはいかないんだ。  千咲にまた会いたい。大輪の花が咲いたような千咲の笑顔がまた見たい。また一緒に出かけたい。ただ、それだけ。  燻っているぬいぐるみに水をかけて、ドラム缶に背を向けた。すっかり暗くなってしまった河原をスマートフォンの灯りを頼りに後にする。  
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