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「そう簡単には行かないか…まぁ、とりあえず今回はどんな霊が来たのかを教えてくれ」
「今回は、ですね…」
私の報告を一通り聞くと塔矢は首を傾げる。
「以前から思っていたんだが、【ひとりかくれんぼ】で現れる霊はどれも凄惨だな」
「それは、多分、自身を、呪う、遊びなので、恨み辛みを、持った霊を、呼び寄せ易い、のかと」
塔矢は眉間に皺を寄せて、くたびれて擦り切れた革表紙の手帳をペラペラと捲っている。彼は千咲が消えてから神隠しや都市伝説について調べることが多くなった。
彼は彼なりに出来ることをしている。私は…このまま【ひとりかくれんぼ】を続けるだけでいいのだろうか。他にもっと出来ることがあるのではないのだろうか。
「あの...、私に、他に、何か、出来ることは、無いでしょうか」
私の言葉に塔矢の手が止まる。眉間の皺が一層濃くなるのが見えた。
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