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「...どうぞ」
珈琲を三つ、テーブルに置くと男性がぺこりと頭を下げた。どこに座るか少し迷って、塔矢の横に積んである本を床に置いて、塔矢の隣に腰を下ろす。
「緋山くん、こちらが天音くんだ。」
塔矢が私を顎で指す。ヒヤマ、と呼ばれた男性が顔を上げる。長めの前髪で顔がよく見えない。
「一年の緋山 仁と申します。天音さんのことは助教授から聞いています」
律儀にソファから立ち上がって深々と頭を下げる緋山は長身の塔矢よりもだいぶ身長は低いだろうか。低くも高くも無い声はどこか幼さを感じる。私も緋山に倣ってソファから立ち上がる。
「二年の、天音、涼香、です」
「で、俺が助教授の塔矢 柊介だ、よろしくな」
塔矢まで立ち上がって、頭を下げると緋山はふふっと笑った。
「まぁ、二人とも座れよ、緋山くん、涼香くんが淹れる珈琲は美味いぞ」
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