chapter①

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chapter①

「会議室、清掃点検終わりました」 「「「「お疲れ様です」」」」 先輩が秘書課に戻って来たので、皆が小さく応える。ここは小野田製薬本社の秘書課だ。 秘書は大きく分けて‘個人秘書’‘秘書課·秘書室所属秘書’‘チーム付き秘書’‘兼務秘書’の4種類あると思う。ここは複数名で上司の補佐をおこない、秘書全体の取りまとめや補佐などをする秘書課だ。 仕事は、社内外とのメールや電話対応、お茶出しや会議室予約などの来客対応、パソコンを使用しての各種資料作成などさまざまな業務がある。上司のスケジュール管理や出張時の旅券、宿泊先の手配は個人秘書が行うので私はノータッチ。慶弔関連なども任されているのも個人秘書なので希望者が多いが私はここでいい。 今日も、郵便物受け取り、ファイリングなど庶務的な作業を中心に行っていると 「頭取、応接室に入られました」 個人秘書がこの部屋に掛けて行く言葉が終わる前に 「はい。すぐにお茶お持ちします」 と、先ほどの先輩が立ち上がった。私は勤務4年目だが後輩はいない。だから一番年下なわけだけれど、先輩たちは私に最初、業務を一通り教えてくれて以降、清掃やお茶出しを私に頼まない。私は普通に仕事しているだけなのに、小野田の圧を感じているのだろうか?わからないので考え過ぎずに今日も淡々と業務をこなす。
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