4681人が本棚に入れています
本棚に追加
「食事に行こうか、綾」
「突然ね」
「ママからの連絡でね。ちょうど今夜なら私も大丈夫だから」
「いいけど?」
「明日から出張なんだよ。じゃあ、才本くんもお疲れ様。明日からの出張もよろしく」
「かしこまりました。失礼します」
才本さんも一緒に社長室を出ると、ビルの正面玄関から帰る才本さんと、駐車場へ降りる私たちは別々のエレベーターに乗る。パパだけが帰るなら正面に車をつけているが、私が一緒の時には駐車場で待つように運転手に言ってあるのだ。
「どこ行くの?」
「イタリアンをママが取ったって」
「急に食べたくなったのかな?」
「そうかもしれないな」
腕時計を見たパパは運転手の開ける後部座席へと滑り込み、私もそれに続いた。
「出張はどこ?」
「大阪、神戸」
「ふーん、お土産はいらないからね」
「毎回いらない念押しされるのは寂しいな」
だって…海外ならまだしも、国内のお土産はもうたくさんよ、いらない。欲しいものはここで買えるしね。
最初のコメントを投稿しよう!