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「謝罪はいい。目立つからやめてくれ」
彼は周りを気にして私を制した。
私は恐る恐る頭を上げて彼の顔を見る。
彼はコーヒーカップをソーサーに戻して、私を見つめた。
「俺は結婚しないといけない事情があるから…結婚するけど…正直言うと胸の大きい女性は好きじゃない」
相馬さんは私が一番傷つく言葉を吐き捨てた。
「最初から言うけど…俺は君を愛さないし、必要ともしない。所謂仮面夫婦が希望だ。それでもいいか?」
「えっ?」
「仮面夫婦でも子作りには協力してもらう」
「・・・」
「君達姉妹は父親から詳しい話は訊いてないだろ?」
「!?」
「『ソーマ』が君達の経営不振に陥っている父親の会社『コスモ』を吸収するんだ。なのに…君達姉妹と来たら、父親の会社に救いの手を差し出した俺達に対して失礼じゃないか?」
彼は長い脚を組み、煙草を吸い始めた。
私は声を荒立てる彼の顔が怖くて見れなくなった。
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