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姉に頼まれた時は相馬さんに対して失礼ではないかと思っていた。
でも、彼は六年前…私を救ってくれた命の恩人であり初恋の人。
今でも彼から貰った名刺は大切に持っていた。
失礼を承知の上で、姉の頼みを受け入れて、こうして二人で彼に会った。
「俺を怒らせたのは君達姉妹だ。俺が君に冷たく当たろうが…文句は言えないぞ」
「・・・」
「異存があるなら、今の間に言ってくれ」
「別にありません…」
「君のご両親はこの件に関してご存知なのか?」
「いえ…何も・・・」
「君達姉妹の独断か…世間知らずのお嬢様たちの無謀な行動か…では、君の方からご両親に話をしてくれ」
「分かりました」
彼は煙草を咥え、携帯を取り出す。
「おいっ、麻友君の携帯」
「えっ!?あ・・・」
彼に名前を呼ばれ、心臓の拍動が急上昇した。
「早くしてくれ」
「あ、はい」
私は慌ててバックから携帯を取り出した。
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