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「おい、こいつを雇え」
「は…お前」
ライブハウス受付には、赤いメッシュの男がいた。どうやら勝手に俺を雇えと言ってるみたいだな。
「柊に似てる」
「はぁ?お前知らねぇのかよ!こいつは亮伍の弟の亮介だそ?」
「…え、まじかよ」
兄貴の知り合いのようだ。なんか、怒鳴られてる。
「亮介です、あー、たまにバンド見てました」
「まじか…お前なんでこんなとこで働きてーんだ?」
「仕事ないんで」
「じゃ、斎藤よろしく頼むからなー」
えー、置いてかれた。
「…お前、柴田の言いなりなのか?」
「いや。心配してくれたんだと思います」
「…あっそう。で、金とか数えられんのかよ」
「はぁ、まぁ」
「ちゃんと返事しろや」
理不尽な人が多いな。
「はい」
「んじゃ、今日から働け」
「夜中までですよね」
「まぁな」
「あまり遅いと終電ないんで、終電までにして下さい」
「はぁ?てめーどこに住んでんだよ」
「近くないんですよ、ここから」
「ならやるな」
「いや…」
笑理が一人になるから実家に泊まるのもなぁ。笑理との時間がなくなってしまう。
「…はい。申し訳ないのですが、この仕事はやらないことにします」
「…柴田にはお前から話しとけよ」
「はい」
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