いるかさん

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いるかさん

先輩としゃべりすぎた。帰ろ。 劇場を出たところ、安菜さんがいた。 「あ、亮介?まだいたの?」 「…知り合いと話してて」 「私、これからお昼なの。一緒にどう?」 「家帰るんで」 「そう?じゃあまたね」 …俺に気がある?うそだろ。ありえないから。ただ、責任感じてるんだろ? 「もしもし?」 「あー笑理。面接だめだった、というか断った」 「そうなの?わかった」 「家帰ったら話すから」 「うん。わかった」 かわいい声だなぁ…落ち着いた。 「亮介くん、電話ありがとう。嬉しい」 「ん?」 「声聞きたかったから。じゃ、じゃあね!」 笑理、素直だな。 さて、買い物して帰るかな。 「あー!亮介!久しぶり!」 「あ、いるかさんだ」 前劇団にいた、いつのまにか辞めた人。 「子供産んだんですよね?」 「そーよ」 「保育園?」 「それが?」 「劇団は辞めてなにしてんですか?」 「ハンバーガー屋で働いてるけど、劇団のオーディションも受けてるわよー?」 「へー」 「今日も行ってきたとこ。昼ごはんまだなら一緒に行かない?」 「あーはい」
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