探査

1/1
前へ
/100ページ
次へ

探査

朝が来て昼が来て 昼が来て夜が来る それを面倒事のように語るスーツ姿の女性の 向かいの椅子にはプラダのネクタイぶら下げた若者 その横で俺はお釣りを間違えた店員の名前を思い出していた 記憶にある財布の中の小銭と 現実の硬貨が合わなくて 俺の何かが警告音を鳴らしている 記憶を順繰りにたどり 意識が横文字の店員にたどりついた時 かじかんだ手の震えが止まった セットした覚えがないタイマーをスマホが鳴らし 俺は朝の次は夕方が良いという会話をバックに歩き出す 「それは極夜っていうんだよ」 俺にも聞こえないくらいの小声で俺が呟く 歩きはじめは左足からにするべきだった
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加