君に捧ぐ歌

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「ただいま。」 恐らく眠っている彼を起こさないように、青年は静かに扉を閉めた。 慣れない夜勤の仕事は辛いが、 それでもようやく自分の家に帰って来られるとホッとする。 直ぐにでも眠りたいが、食事もとらなくてはいけない。 ふとテーブルを見ると、画用紙が広げられている。 上にしたり横にしたり()めつ(すが)めつ眺めていると ようやくこれは自分の顔だと気付いた。 その顔にかからないように、ぐねぐねと黒いのたくったものが囲んでいる。 「おやおや?これは驚いた。」 彼は嬉しそうに満面の微笑みを浮かべた。
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