5人が本棚に入れています
本棚に追加
しかしある時、女の子いえ彼女は恋をしました。
彼は森の入り口のすぐ側に住む
猟師の息子で彼自身も腕のいい猟師でした。
二人はこっそりと会うようになりました。
彼女は彼に刺繍のハンカチを贈り
彼は街で買ってきた綺麗な赤い櫛を贈り
互いに想いを確かめ合いました。
するとある時。
いつもの様に彼女は彼と逢瀬をして
魔女の家に帰ると、
魔女は言いました。
「お前は誰かと会っていたのかい?」
彼女はドキリとしました。
「いいえ、誰とも会ってはいません魔女様」
「そうかい、ならいいんだよ。
お前は誰とも会ってはならないよ。
いつまでもここで過ごすんだ」
彼女はドキドキ高鳴る心臓の音を隠しながら
「はい、魔女様」
と答えました。
「早くお風呂へ入っておいで。
三つ編みをほどいて綺麗にしておいで」
彼女は腰まである一本の三つ編みの髪を
体の前に回して手でいじりました。
そして魔女にお辞儀をして
くるりと後ろを向きました。
魔女は彼女の後ろ姿を見てほくそ笑みました。
そう、彼女の首筋に闇の花が咲いていたのですから。
そしてヒヒヒと笑いました。
最初のコメントを投稿しよう!