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グランディア王国第一王女 エステル・レフィア・フォン・グランディア殿下  このような形でしかお話しできない事をお許しください。  ですが、一刻も早く現況をお知らせせねば、最悪の事態が訪れると確信し、私の最も信頼する部下に、この手紙を託します。  我が父バルトレットは、貴女の弟君アルフォンス将軍に、最前線への出撃を命じました。  将軍は今までも幾度と無く、好戦的な父に諫言を進じてきました。しかし、その積み重ねと、彼が年若い事、そして、正しき世であったなら彼がグランディア王国の第一王位継承者である事、それらの事情を抱えて尚、彼がカレドニア騎士としての誇りを失わない事。諸々の要因が混じり合って、父は彼を激しく憎み、とうとう「死ね」に等しい命令を下したのです。  父は貴女とアルフォンス将軍が相討ちになる事を強く望んでいます。  その為に、アルフォンスの義妹(いもうと)である、亡きリードリンガー伯の一人娘ファティマを楯に取り、命の保証と引き替えに、一兵の撤退も許さない戦いを強いました。  この手紙を私の部下が届ける頃には、アルフォンス将軍は前線へ向かうでしょう。  同時にお渡しした地図に、カレドニア軍の現状の配置を全て記します。  私が父に刃向かえば犠牲になる者が多くいる今、表立ってお力添えできない事は心苦しいですが、どうかこれが、事態を打開する為に役立つ事を、切に願っております。 カレドニア王国第一王女 ジャンヌ・サリア・フォン・カレドニア
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