目が見らんない

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「なんだか、呪文がさっきと違うみたいだけど」 「いいからいいから」と由衣。  呪文を聞くうち、啓介は自分の身体の様子がだんだんおかしくなってきていることに気がついた。喉仏が震える。腹の底から得体のしれない力が込み上げてくる。 「おまえら、俺の体になにしてるんだッ」  由衣は手をひらひらさせながら言った。 「大丈夫大丈夫。悪いようにはしないから」  悪いようにはしない? あきらかに体の様子が変だ。不安にならないほうがおかしい。由衣が易者を通じて自分にさせようとしていることがわからず怖い。  啓介は自分の身に起こる変化にだんだん感覚が追い付いてきた。震える喉仏。腹の底から込み上げる力。啓介はわかった。意志とは関係なく、体が勝手に叫び声を上げようとしている。 「由衣、まさかおまえ――」
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