目が見らんない

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「ピンポン。易者さんに訊いたの。お祓いが出来るならその逆、付喪神の憑依もさせられますよねって。ふつうはできないらしいんだけど、啓介の霊媒体質と祝詞があれば出来そうだって。それでお願いしたの」 「じゃあお前、いったいなにを俺に憑依させて――」  と言いかけて、啓介はついに堪えることができず叫び声を上げた。 「由衣、俺も好きだ――ッ!」  由衣は「っしゃ!」とちいさくガッツポーズする。途端に体がスッと軽くなった。だるさもなくなった。 「強引な手段使ってごめんね。啓介に付喪神を憑依させて、無意識の本心を叫んでもらったの」 「ちなみに憑依させたのは合鍵と拡声器の付喪神です」と易者。「いまので由衣さんの生き霊も啓介さんから離れたみたいですね」
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