目が見らんない

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発覚したのは八歳の秋だった。 いままで出来なかった口笛が突然吹けるようになったかと思えば、 延々口笛を吹き続けてしまう。 啓介がもういい、やめたいと思っても口笛がやめられない。 家族に叱られても止められない。自分の意志とは関係なく吹き続けてしまう。 心配した家族に病院に連れていかれても原因はわからず、 藁にも縋る思いで神社に詣でてみると、なんと 横笛の付喪神に憑りつかれていたことが明らかになった。 霊媒体質。啓介は稀有な体質の持ち主だった。 ヒトやモノの霊魂を呼び寄せ、憑依されてしまうのである。しかも憑依してくるそのほとんどが、モノが魂をもった付喪神だからたちが悪い。
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