目が見らんない

6/17
前へ
/17ページ
次へ
 そういえば顔色も悪い気がする。啓介は由衣の顔を覗き込んだ。 「おい由衣、本当におまえどうしたんだ」 「や、ちょっとめまいがして」 「じゃ、今度は本気でやりますね」  易者は真剣な表情で大幣を振り、祓詞を唱える。 すると啓介の重くてだるかった体が、手先足先からみるみる軽くなっていくのだった。 「すごい、効果覿面だ! 見てもらって正解だったな!」 なあ由衣、と啓介が由衣の肩を叩こうとしたとき、なぜか由衣がものすごい形相でもがき苦しみ出したのだった。 「ぐっぎぎゃあああああ! ストップ! 祈祷をやめてくださいッ」
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加