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「そんなんじゃないわよッ。ただ……」
「ただ……、なんだよ」
易者はコホン、と咳払いして言った。
「ちなみに執着はネガティブな感情だけじゃないですよ。ポジティブな感情でも執着心になります。たとえば恋とか」
恋ッ? 驚いた啓介が声を裏返してそう言うと、由衣はみるみる顔を紅くした。その紅さに、頭の先からボンッと爆発した音がきこえた気がした。
「だッ、だれがあんたに恋するワケッ? あんたの体質を心配してるだけ! ただの心配性なのよッ」
「そういえば、クラスの他の女子と話すとき、やけに体が重くなったりしたな」
由衣は啓介からスイッと目を逸らして言った。
「私じゃないわよ」
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