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へえー、と感心したように愛子が声を上げた。
「すごくはっきり話すようになったね紗綾。うん。絶対その方がいい。紗綾は元々賢い人だから、自信持って話せばいいのになって思ってたの」
「そうかな。何か恥ずかしいね。でもそう言ってもらえて嬉しい。ありがとう」
「ううん。こっちこそ紗綾にお礼言わなきゃね」
「何が?」
「優秀な弟のことよ。紗綾と付き合いだしてからすごく優しくなった。間違いないわ」
「そんなことないよ。颯斗は元々優しいから」
「まあねー。紗綾に冷たくするわけないから当たり前か。でもね紗綾。姉として言わせてもらうけど、弟は元々ちょっと他人に対して冷たいところがあったのよ。すごい線を引くっていうか。家族には優しいけど、それ以外には薄情すぎじゃないって思うことも度々あったの。その弟が明らかに最近変わったのよ。家族以外のことも、話を振ればちゃんと考えてくれるようになったりね。姉から見ればすごい進歩なの」
「そうなんだ…。本当にそうならすごく嬉しいね」
「だから本当なの。紗綾はどう思ってるか分からないけど…、弟にとってこれ以上ないくらい真剣に恋愛してるんだと思う。ーーーだからこそ、心配になるのよね」
急にトーンダウンした愛子が大きなため息をついた。
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