女優Xを探せ!

14/22
前へ
/22ページ
次へ
 へえー、と感心したように愛子が声を上げた。 「すごくはっきり話すようになったね紗綾。うん。絶対その方がいい。紗綾は元々賢い人だから、自信持って話せばいいのになって思ってたの」 「そうかな。何か恥ずかしいね。でもそう言ってもらえて嬉しい。ありがとう」 「ううん。こっちこそ紗綾にお礼言わなきゃね」 「何が?」 「優秀な弟のことよ。紗綾と付き合いだしてからすごく優しくなった。間違いないわ」 「そんなことないよ。颯斗は元々優しいから」 「まあねー。紗綾に冷たくするわけないから当たり前か。でもね紗綾。姉として言わせてもらうけど、弟は元々ちょっと他人に対して冷たいところがあったのよ。すごい線を引くっていうか。家族には優しいけど、それ以外には薄情すぎじゃないって思うことも度々あったの。その弟が明らかに最近変わったのよ。家族以外のことも、話を振ればちゃんと考えてくれるようになったりね。姉から見ればすごい進歩なの」 「そうなんだ…。本当にそうならすごく嬉しいね」 「だから本当なの。紗綾はどう思ってるか分からないけど…、弟にとってこれ以上ないくらい真剣に恋愛してるんだと思う。ーーーだからこそ、心配になるのよね」  急にトーンダウンした愛子が大きなため息をついた。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

192人が本棚に入れています
本棚に追加