57人が本棚に入れています
本棚に追加
水無月が木瀬の勧めるままにアプリを落とすと、すぐに街中を歩く李子を見つけることができた。
「ほら!」
「いたな」
「場所は、、、チャイナタウンとここの中間くらい、でしょうか。
あっ!
と、言うことはですよ、李子さんはこちらへ向かおうとして電車に乗ったのですね。
ではでは水無月さん、早速保護に向かいましょう!」
「いや」
画面越しに李子を見る水無月が声なく笑う。
「うわ、、、水無月刑事が笑ってる」
「お前のそんな顔、初めて見たわ」
相好を崩す、という言葉があるが、表情の変化を見せないことで有名な水無月が一瞬、まさしく一瞬だけ顔に現した心の正直だった。
「木瀬、お前は二課と一緒に李子を突き飛ばした男の確保に回れ」
視線を鵜飼に戻し、
「鵜飼、悪いが李子がここに来たら俺の部屋まで案内してやってくれ」
「え? 、、、あ、ああ。
それは勿論だが、お前は、、、」
「今日は非番だからな。
部屋でゆっくりガキの成長を見守ることにするわ」
呆気に取られる二人を差し置いて水無月はスマホ片手に店を出た。
最初のコメントを投稿しよう!