秋霖

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水無月が木瀬の勧めるままにアプリを落とすと、すぐに街中を歩く李子を見つけることができた。 「ほら!」 「いたな」 「場所は、、、チャイナタウンとここの中間くらい、でしょうか。 あっ! と、言うことはですよ、李子さんはこちらへ向かおうとして電車に乗ったのですね。 ではでは水無月さん、早速保護に向かいましょう!」 「いや」 画面越しに李子を見る水無月が声なく笑う。 「うわ、、、水無月刑事が笑ってる」 「お前のそんな顔、初めて見たわ」 相好を崩す、という言葉があるが、表情の変化を見せないことで有名な水無月が一瞬、まさしく一瞬だけ顔に現した心の正直だった。 「木瀬、お前は二課と一緒に李子を突き飛ばした男の確保に回れ」 視線を鵜飼に戻し、 「鵜飼、悪いが李子がここに来たら俺の部屋まで案内してやってくれ」 「え? 、、、あ、ああ。 それは勿論だが、お前は、、、」 「今日は非番だからな。 部屋でゆっくりガキの成長を見守ることにするわ」 呆気に取られる二人を差し置いて水無月はスマホ片手に店を出た。
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