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性癖なのか、或いは制裁用なのかは定かでないが、プライヤーに関しては虫も殺さないような、上品な顔にむしろ気味悪いほど似合う、綾野という男の嗜虐趣味を象徴していた。
どうにか膝だけが着くようにして吊るされた李子の白く柔軟な身体は天井からの光に向かって立ち映え、逃れようともがく様はまるで昇華する未だ幼き一体の白龍のようにも見える。
「ああ美しいね。
肌が上からの光を返している。
その身体が痛みを愉しめるように淫剤をあげましょう。口を開けて」
至極優しい綾野の口調に相反し、進められてゆく行為は李子の首を激しく振らせた。
しかし綾野は威しはしなかった。
「嫌かな? では下から」
そう言って、アルミ製のチューブから蝋のような白い練り液を指に取ると李子の腰を少し持ち上げてから尻の奥に差し込み、ぐるり半回転させる。
「うぁ」
手慣れた所作ではあったが、冷蔵保存されていたらしき冷たい異物が李子の身を反らせ、声を発させた。
「確かに、腸からの吸収の方がより効きはするのでね。
、、、大丈夫、すぐによくなる。
君が腰を振れば目の前の観客も歓ぶんじゃないかな」
綾野は上品な微笑みを幽かな暗闇にいる水無月に向けた。
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