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「好きな男の前で気の毒なことだ。
しかし残念なことに私は心理的凌辱と苦しみが大好物なんです。
この程度では果てるのに少し物足りないほどね」
太く滾った勃起で李子の尻を突き上げながら、片手にプライヤーを持ち、背後から小さな顎を取って上向かせる。
その顔には高揚する自身への笑みがあった。
長い指が李子の唇をこじ開ける。
「ふぅぅっぐ」
「尻も悪くないが、無理矢理にでもこの小さな口に押し込み、窒息させながら射精すのが理想です。
しかしそれにはどんなに美しい歯であっても邪魔になってしまう。
そこで、
上下の歯を全て引き抜き、血を溢れさせた口中に挿入すればどうでしよう?
死にゆく間際の苦しみと絶望を見たい私の希望が叶うと思いませんか?」
「ぃ、嫌だ、、、嫌」
限界の身体は精の放出を求め、すでにいくらかの白い体液は垂らしていたのだが、綾野が腰の動きを速め李子の尻を突きつつ震える唇に二本、三本と指を差し入れ、プライヤーで下歯を歯茎ごと挟んだ途端、李子は灼けるような痛みを得て射精した。
「どうしましたか?」
綾野はいつの間にか側に佇んでいた水無月へ流し目を送りながら訊いた。
その一瞬前、つまりプライヤーが歯の根元に当たる茎を挟んだ際、水無月の手が綾野の手首を掴み、その握力によってプライヤーが李子の口元から離されたのだ。
身を屈め、李子の顔を持ち上げた水無月は涙の伝う頬を親指で拭い、傷つけられた歯茎から流れ出る血をひと舐めしてから唇を合わせる。
触れる程度のキスをした後、
「たった今考えを改めた。
やっぱ誰にもやれねぇわ」
真顔でそう言ったのは、紛れもなく李子に対してだった。
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