56人が本棚に入れています
本棚に追加
陥ちない男〈ひと〉
────
「どれも美味そうだな〜。
新作も気になるけど、取り敢えず俺は全種入ったボックスチョコね」
クークアに到着した二人は熱心にガラスケースを覗き込んでいる。
春蕾が価格の高い商品を選ぶ中、その後ろでは早くもアイスを手にした木瀬 春馬が頷きながら『僕にも同じ物を包んで下さい』とスタッフに良い添えた。
「春蕾さん、派遣先での貴方はいつもこの店のアイスのみを購入させていたようですが。
今回はチョコだけで宜しいのですか?」
背後からずいっと首を伸ばし、木瀬が春蕾の顔を覗き込んで訊いた。
春蕾は一瞬、訝しげに木瀬の顔を見返したが、すぐに笑ってアイスのガラスケースの方へと移動した。
「よく知ってるね。
もちろんアイスも買って貰うよ。
えーっと、、、じゃあテイクアウトでチョコナッツとぉ、チョコスピナッチ」
「チョコスピナッチはオススメです。
正しくはスピニッチですが」
「あとソルティチョコに」
「こちらはヒマラヤ岩塩を使っているのでミネラルたっぷり、肩コリなどにも効果抜群だそうで」
「チョコミントとフェネグリーク!
あ、お姉さん。
ミントは今食べるからワッフルコーンでちょうだい」
「なんと。
春蕾さんのお好みは、僕と似ているではありませんか」
最初のコメントを投稿しよう!