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刑事のルーツ
「自分、小学生の頃に両親が離婚してね。母親が自分と妹を引き取って育てたんだ。唯佳ちゃんと同じシングルマザーだよ。当然、生活は楽じゃなくて、お小遣いは誕生日とクリスマスの時にもらえるくらいだった。だから欲しいものは全然買えなかったけど、大して不満はなかったんだ。母親が頑張って働いてるのを知ってたからね」
「そうなんだ? 木場さん偉いんだね。ユイなんかついおねだりしちゃうよ。沙絢と同じコスメが欲しいとかいろいろ」
「まぁ、女の子はそうかもしれないね。妹も、同級生の子が可愛い筆箱とかポーチを持ってるのを見て羨ましかったみたいだし。
ただ……4年生の時かな。新しいクラスで一緒になった奴らが、自分の家が貧乏だってことを知ってちょっかいをかけてくるようになったんだ。買ってもらった物をわざわざ学校に持ってきて、見せつけてきてさ。
そうやってからかわれるのは正直辛かった。自分が物を買えないことより、母親をバカにされるのが嫌だったんだろうね」
話しているうちに、当時の記憶が少しずつ蘇ってきた。毎日登校するたびに、お決まりのメンバーがにやにやして自分の机の周りを取り巻いては、これ見よがしにいろいろな物を見せつけてくるのだ。見ろよ木場、これ、〇〇シリーズの最新作なんだぜ。発売日に買ってもらって、今日帰ったら遊ぶんだ。え、お前まだ買ってないの? あぁそっか、お前ん家金ないもんな。ごめんごめん、忘れてたよ……。
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