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「う、うわぁ……アルがめっちゃ喋る。……事件のこと、本当に何も知らないんだよね?」
「なんだ。やっぱりそうなのか」
「ちが……違うけど……そう、なるのか? いや、どちらかっていうと、僕が手を出されたっていうか……」
「知るか。どうでも良い」
「酷っ!」
――そうだった。この男は、僕がちょっと当たったぐらいでは傷付くどころか、何倍にもして殴り返してくる奴だった。
それがあまりにも的確で、辛辣で痛いから、ヒースは嬉しくなってしまうのだ。興味無いって顔をするくせに、ちゃんと見ていてくれるんじゃないかと。
ふき出したヒースに、アルファルドは面倒くさそうに長いため息をつく。
「今回のは……セラが、アルディールに留学したいって言い出して、ちょっと意見がぶつかっただけだ」
「留学!?」
ヒースとアルファルドと一緒に王立学院を卒業したセリアルカは、準騎士位のまま正騎士叙任を受けずに大学に進学した。大学で古典文学の教授をしているセリアルカの父親の背中を追いかけたと思いきや、彼女が進んだのは考古学部で、主にアルディールの古代文明について研究している。
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