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神探しの巫女
北海道の新千歳空港。
日本人、外国人、老若男女。
様々な人間が足音を踏み鳴らしている。
俺たちは教師に空港の広い場所に集合させられていた。
規則正しく列を作り、行儀よく床に座る。
俺はあぐらをかいて、初めて訪れる土地の空港の中をボケッと観察してみた。
北海道だからどこもかしこも寒いと思っていたのだが、建物の中は暖かい。
暖かいどころか着こんできたせいで暑いくらいだ。
「えー、バス会社さんのね。手違いでね。空港にバスが到着するのがちょっと遅れるそうです。ちょっとと言っても1時間くらいかかりますけどね。なのでここで待機します。外には出ないように、それとあまり騒がずほかの人たちに迷惑をかけないようにお願いします。じゃあ一時解散!あ、今お土産を買うと荷物になるので買わないほうがいいですよ」
学年主任の解散宣言に、生徒たちはみなガヤガヤと落ち着きなく立ち上がった。
俺はのそのそと立ち上がって、人気のない場所を目指した。
修学旅行、高校生の一大イベントだ。
だが俺には関係ない。
1時間も一緒に楽しく過ごせる友人もいないし、別に北海道に憧れがあるわけでもない。
俺は首に巻いているマフラーに顎を深くうずめて、小便がしたくなったのでトイレの中に入った。
便器目掛けて放尿し、手洗い場で手を洗う。
そして鏡に映る自分の顔を見た。
額から頬にかけて刻まれた火傷の跡が痛々しい。
あれからもう10年経つ、今でも傷は……たまに疼く。
「1時間か……」
俺は小さくため息をついた。
友人がいないことを嘆いているわけではない。
孤独にはもう慣れたし、誰かと繋がろうなんて思う気持ちもないからだ。
この旅行にだって来たくなかった、俺を引き取ってくれた叔父の夫婦に悪いから仕方なくやってきただけ。
好きでもない奴とスキーや食事、それに一緒の部屋で寝るなんて退屈で仕方ないんだろうな。
俺は虚ろな目で未来に起こるであろう時間を想像した。
部屋の中のベッドに寝ころび、むすっと天井だけを見上げている自分が浮かび上がってきたので鼻で笑う。
「まあしょうがねぇか」
特にやることもないが、ずっとトイレにこもっているわけにはいかない。
俺はトイレを出て、土産屋でも回ろうと思った。
初日に何かを買う気はないけど、せっかく訪れた土地の特産物でも見物しよう。
人混みの中を歩き、親しくない生徒たちの横をすり抜けて店を回った。
お菓子やインスタントの食料、乾燥した海藻類や瓶詰にされたウニなど品ぞろえは豊富だった。
海産物の値段は高めで、冷凍されたカニなどは何千円もする。
こんなものを買ったら俺の財布が悲鳴をあげてしまうな。
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