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坂井は本当に動揺している様だった。私がホテルに行く事は坂井には知らせてなかった。
「大丈夫。何があったの」
「実は……」
坂井は周りを気にして声をひそめた。
「ご主人が、ストーカー女を刺してしまったんです。女は意識不明の重体で、ご主人は正当防衛だと主張していたようです。ご主人は眠りが浅かったらしく、女が襲った時、気付いて揉み合いに……奥様、聞いてらっしゃいます」
「……ええ。坂井さん、これって望み通りになったんじゃないのかしら」
坂井は息を飲んだ。
「……確かにそうかもしれません」
そこに、坂井を呼ぶ声が聞こえた。
「連絡ありがとう。警察へこれから連絡しなくちゃだから」
坂井は上手くやれたらしい。私は胸の奥底から湧いてくる喜びを抑えつつ、警察署へ電話をかけた。
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