ピュグマリオンの涙

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***** 「あら、今日はクッキーも一緒なの?」  白い湯気をまだ幽かに立ち上らせているカップの隣にはコインじみて縁のギザギザした丸いクッキーを五枚ほど並べた皿も置かれている。 「君の好きなこの低糖質のがさっきスーパーで割引で売ってたからね。ネットで買うより安いよ」  ダイニングテーブルの向かいの椅子に腰掛けたディーノが目尻の皺をいっそう深くするように笑って答えた。 「ありがとう」  私好みの甘苦さで淹れられたカプチーノに良く合うクッキーの味だ。
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