DEEP BLUE ~静かな漂流~

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DEEP BLUE ~静かな漂流~

c0139eb4-0b12-404b-a465-23071d8cfdea  未来の地球ーー。  人類は技術の発展により宇宙のことを調べる方法を以前より多く手に入れました。それにより宇宙を旅し、新しい星を発見・調査する事が可能になったのです。  昔の人々が知ることのなかった星がたくさん見つかる中、ある時、太陽系外で 『サイレント・ドリフト』という地球に似た、大気や重力や地殻のある星が見つかりました。  『サイレント・ドリフト』は木のようなものはなく、地表全てが砂で覆われていました。また、ここには微生物や昆虫のようなものはいましたが、人間のように知能の発達した生物は見つかりませんでした。   そんな不毛な星だったので、最近まで特に珍しいものがある星ではないと思われていたのです。   しかし、それはこの星の表面の話でした。  調査を進めるにつれ、この星の地殻の地下全体には海水、つまり深い海がある事が分かったのです。    「この海の底はどうなっているのか……?」  こうして、この物語の語り部であり、個人の『惑星ダイバー』でもある私は海底の調査を依頼され、『サイレント・ドリフト』に旅立ったのでした。  調査当日ーー。  粗末な調査隊のシャトルに乗せられ(オンボロなのは国がお金を持ってないからなんです。悲しいです。)、大気圏に入り、着陸を終えました。  私はこの星の土を踏もうと外に出ます。  大気のあるこの星では酸素マスクは不要です。  深呼吸し、褐色の砂の大地 と晴れた青空を見ました。いつもは砂嵐が絶えず晴れることはないそうです。  そんな祝福されているような出来事の後、私は異星を調査する事がどれ程危険な事なのかと言う恐れを隅に置き、どんな海を潜るのか楽しみになりました。  早速ダイバースーツに着替えて調査隊の車に乗り、地下への入り口のある場所に向かいます。  いくつかの白い岩の突き出た場所に直径ニメートルほどの穴がありました。ここが入口です。  私はしぶきを立てながら、地球の水に似た透明な液体に飛び込みます。  全身が液体に包まれたとき、静寂と青の世界が広がりました。  太陽に似た近くの恒星の光が、青く透明の水面に差し込み網目模様を描きます。  そのとろけるような濃く深みのある青の中で、私以外の生き物は見当たらず、ただ身につけている酸素ボンベから気泡が静かに上がっていました。  さあ、調査の始まりです。  まず横を見ると、天から地にぼんやりと太い柱か何かが伸びているのが見えたのでそちらに移動します。  この柱は灰色の硬い岩でできており、地上を覆っている地殻から下へと伸びてます。  柱からナイフで岩の表面を採取し、耐水圧性の簡易検査機にかけててみると、これはマグマが固まってできた柱だということが分かりました。 同時に、この海の底には海底火山があるかもしれないということも分かりました。  私は下方向へ頭を向けます。  この海の底には暗い青が広がっていました。  深い、深い海をひたすら潜ります。  行き先は真っ暗でやはりどうなっているか 分かりません。  しばらく海を潜り進めると地上からの光が届かなくなり、辺りが暗くなって海の青も明度が落ちました。  どこまで深く潜ったのでしょうか。  水深計を見ると1000メートルと表示されてました。  もうこんなに潜っていたなんて……。  耐水圧性の特殊スーツを着ていなかったら私の体は水の重さで押し潰され 死んでいたでしょう。  こんなに深いのなら潜水艇を用意したほうが調査をしやすかったかもしれません。しかし、潜水艇はレンタルには費用がかかり、それに私は調査隊に所属してない個人の惑星ダイバーなので予算的にもキツイものが……。  まあそれはさて置き、私はさらに深く潜りました。
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