第17章 過ち

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「トキさん、すぐ作りますからちょっと待ってて下さい」 部屋の中は、選んでいたらしい服が床に散らかっている以外は、驚くほどすっきりと片付いていた。 でも一方で、ワンルームの部屋には若い女の子特有の甘ったるい匂いが満ち満ちていて、理性を失いそうになるのを感じた。 「いや、ほんと気を遣わないでほしい。それにここには話をしに来ただけだから」 「そんなかたいこと言わないでください。せっかく来てもらったんですもの、ごちそうしなくちゃ」 「いや、そんな時間はないよ。もう帰らなくちゃいけない」 「分かりました。でもお腹すいちゃったから、サラダとコーンスープだけ作ります。それでいいですか?」 ようやく諦めたような様子に胸をなでおろす。 「うん。ありがとう。いただくよ」 コーンがたっぷりと入ったコーンスープと僕の前にはナポリタンが置かれ、頼子ちゃんはサラダを前に向い合わせに座った。 「トキさんお腹すいてると思って。チンしただけで申し訳ないですけど、よかったらどうぞ。でも次はご馳走させてください」 「ありがとう。ありがたくいただくよ。このコーンスープ、コーンが一杯だね。こんなのがあるんだ?」 「これはコーン缶を入れてます。ただのコーンスープって、コーンが少なくてさみしいでしょ?だから」 「確かに。コーンが多くいと贅沢に感じるね。美味しいよ」 「でしょ?」 この子はほんとにデートがしたかっただけなのかもしれない。 思わせぶりな言葉に惑わされて、僕が考えすぎてたようだ。 たかだかスキー場で助けただけで、こんなおじさんに体を許すわけがないと思い直した。 頼子ちゃんを刺激しないよう、頼子ちゃんの話しに頷きながら他愛もない話しをしているうち、体の一部分に違和感を感じだした。 ー ま、まさか ー 「悪いけど、僕はもう帰るよ。ごちそうさま。ありがとう」 「待ってください」 慌てて立ち上がった僕の手を頼子ちゃんが掴んでいた...。
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