第19章 孕む

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第19章 孕む

頼子ちゃんがシャワーを浴びている間に、妻に今日は遅くなるとラインを送る。 すぐに既読がつき、”気をつけて”のスタンプが押されていた。 まだ乾ききらない長い髪を手で梳かしながら出てきた頼子ちゃんに、帰るよと声を掛ける。 すれ違いざまに石鹸の香りがして体が反応した。 靴を履きながら、惜しいことをしてしまったと思い思わず苦笑いする。 「どうしたんですか?笑ったりして?」 「ううん、何でもないよ。それじゃ元気でね」 「トキさん...」 「ん?」 「最後にもう一度だけ、ぎゅってして下さい」 恥ずかしそうに上目遣いする仕草に心が揺れる。
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