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キスを終えようとするとなおも腕を絡めてくる頼子ちゃんを止める。
「頼子ちゃん。約束だよ。」
「...私って...。そんなに魅力ないですか?」
悲しげな声に心が痛んだ。
「違う。魅力的すぎるんだ。でも..」
「だったらもう一度だけ」
「頼子ちゃん、だめだ。人には、好きだからこそセックスじゃない愛情表現もあるってことを分かってほしい」
「...そんなの...。信じられません。好きだったら欲しいって思うはずです。触れたいって。触れて欲しいって。それが好きってこと...だと思います」
「確かにそうかもしれない。でも大切だからこそ見守りたいって気持ちがあることも分かってほしい」
頼子の瞳が戸惑うように揺れ動く。
頭を下げ、ようやく回した腕をほどくと、両手で僕の手をとり
「トキさんは。。。トキさんは私のこと見守ってくれますか?」とつぶやいた。
「うん。僕は頼子ちゃんのことずっと見守っていくよ。約束する」
「ほんとですか?トキさんは嘘をつかないですよね?」
「うん。約束するよ」
「...分かりました。わがまま言ってごめんなさい」
「うん。何かあったらいつでも連絡してもらえれば相談にのるよ。...それじゃ。」
「トキさん...。わたし、桃子に酷いこと言っちゃいました。桃子許してくれるかな」
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