第19章 孕む

4/11
前へ
/200ページ
次へ
 初めて桃子を見た時、この子は利用できそうだなって直感した。 いかにも男好きするタイプ。 この世間知らずなお嬢さんと居れば、そういうのが好きなお金持ちのお坊ちゃんが寄ってきそう、そう思った。だから桃子に声を掛けた。大教室に不安げに座っていた桃子を。ある意味私の予想は予想通りだった。でも計算外だったのは、桃子がいつまでも男になびかないこと。女子高出身で、しかも男を知らないからいつまでも子供で、男の扱いを覚えようともしない。 桃子がいつまでたっても男を作らないから、いつも狙われるのは桃子で、桃子を狙うような男は私には見向きもしなかった。私はプライドを傷つけられ、悔しくて、いつもイライラしていた。だからいつか桃子が本性をだして、痛い目に遭うのを心待ちにしていた。   でもまさかこんなおじさんを取り合うようになるなんて。結局私も子供だったんだな。 そう思いながらも、ついトキさんを見つめてしまう 「う~ん。僕は女の子同士のことはよく分からないし、無責任なことは言えないけど、きっと大丈夫だよ、二人なら。ただ少し時間はかかるかもしれない。でも二人がそうしたいと思うなら、きっと」 「そうですね。私も一度謝ってみます。ありがとうございました」 「うん。それじゃ」 駐車場まで見送りますと言う頼子ちゃんに、ここでいいよと言って扉の前で手を振った。
/200ページ

最初のコメントを投稿しよう!

124人が本棚に入れています
本棚に追加