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何度トキさんに電話を掛けてもつながらない。
ラインのブロックを解除し、桃子が妊娠しました。すぐ連絡くださいとメッセージを送った。
しばらくすると既読になり、すぐ電話が掛かってきた。
「もしもし。桃子ちゃんが妊娠したってほんと?」
「そんな嘘つくと思いますか?」
「いや。でも。桃子ちゃんからはなにも...」
「それは私も聞きました。どうして言わないのって。そしたら堕ろせって言われるのがこわいからって」
電話の向こうからトキさんの動揺が伝わる。
「だから桃子は何も言わないで、一人で産んで育てるって決意しています」
「一人でなんて、そんな馬鹿な。子供はそんな簡単なものじゃない...」
「トキさん、逃げないですよね?」
「でも。まさか。あれほど気をつけていたのに」
「初めての時、つけてなかったんですよね?」
トキさんが息を呑む。
「あの時は...。何も用意してなくて...」
「膣中に出したんですか?」
「...」
「どうなんですか?否定しないんですか?」
「わかった。ひとまず桃子ちゃんに確認する」
電話が終わったあとも鼓動が激しく打っていた。
ふと桃子が気になり”OFF TIME”に戻ると、そこにはもう桃子の姿はなかった。
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