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バスタオルを巻いただけの姿でとりあえず髪を乾かし、部屋へ戻ると、彼は部屋の明かりを少し落とした。
「妃奈、来て…?」
彼は先にベッドの上に座り、私を呼ぶ。
ベッドに膝で上がり、彼ににじり寄っていくと、お尻と背中を引き寄せられた。
自然に、彼の前に膝立ちになる。
「…妃奈は本当に、色っぽくなった」
「そう? 誰かさんが丹精込めて育ててくれたからかな…?」
ちょっと照れて、茶化すように言う。
「この唇は艶っぽく濡れて俺を誘うし、この胸は俺に触れて欲しいと揺れる。
ここは少し弄っただけで硬くなって、早く舐めてほしいとねだってくる…」
私のバスタオルをはらりと落とすと、胸の膨らみを持ち上げ、先を口の中に入れた。
思わず、あ…っと声が漏れる。
熱い口の中に取り込まれた先が、舌に潰されるように舐られて、とっさに身体が逃げようとするのを強い腕に阻まれる。
「…ほら、妃奈、キス」
私を見上げながら彼が誘う。
それに応えるように、少し開き気味の無防備な唇を塞ぐ。
少し俯いた姿勢が辛くなって、顔が離れる。
「…妃奈、舌出して…、目開けてて」
…あ、このシーン、『刹那の恋』の中にあった。
身体ごと引き寄せられ、裸の胸と胸が触れあう。
私の胸の膨らみは彼の鎖骨辺りに、そしてあそこも彼のお腹の辺りに触れている。
私は少し舌を伸ばして、彼の舌に絡めた。
そうやって口を開け、舌を見せながら絡め合うのは、なんだかとっても淫靡な感じがする。
お互いの舌がちゅくちゅくと音をたてる。
そうしながら、悠哉さんの手のひらが、ゆっくりと私の肌を舐めていく。
脇腹を降りた手は背中へ回り、また前に戻ると、胸の双丘を無視して膨らみの下のラインをなぞり、腰骨へと達する。
腰骨の内側が弱い私は、その感触に耐えきれず、んんっ…と息をついて口を離した。
すると、彼の手が伸びて頭を引き寄せられ、再度唇を塞がれ、舌が口中へと進入してくる。
夢中になってそれに応えていると、急に彼の手が両胸を掴んだ。
硬く尖った先の根元をキュッと摘ままれ、あっ…と声が出てしまう。
そのまま片方を口に入れられ、片方は指先で嬲られる。
「あぁっ… ゆう…っ!」
彼の慣れた舌使いに、無意識で身体を離そうとするのを、背中に回された手が阻止する。
…この先がどうなるか、私は知っている。
そう、彼がすでに書いているから…
想像通り、空いた方の手が、足の付け根に滑り込んできた。
たちまちくちゅくちゅと音が鳴り始める。
「…あっ、…あぁっ…ぁ…」
「…妃奈、もっと乱れて、俺を誘って…」
…今夜はしばらく眠れそうもない。
彼の指と舌とに翻弄されながら、遠のく理性の端っこでそう思った。
【end】
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