Honeymoon 前編 【77,777スター御礼】

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その後、また電車に乗り、今度は彼のご両親のお墓に寄った。 彼は一人っ子だったので、もうご実家は人の手に渡っているそうだ。 お寺に行く途中、お花と線香を買って、墓前に供えた。 親戚のお墓の中にそれはあって、墓石も綺麗になっていた。 彼はその場で、叔父だという人に電話をし、御礼を伝えていた。 「…俺が大学を出た頃、親父が急に心筋梗塞で亡くなったんだ。  別に疾患があった訳じゃなくて、残業や心労やいろいろな複合的な要素が絡み合ってたらしい。  そうしたら母さんもなんかおかしくなって、数年後に逝ってしまった。  若い頃も、俺を産むのが精一杯だったみたいだし、父に頼りきっていたから、心の支えが無くなってしまったんだろうな」 墓前で手を合わせてから、彼がそう教えてくれた。 「だから自分の時は、お互いに依存しすぎないように、と思う気持ちも確かにあった。  それで最初の時は、相手と上手に関係を作ることができなかったのかもしれないな」 ご両親の眠る前でそんなふうに言う彼の、左腕にそっと手を添えた。 寄り添って、線香の煙が昇っていくのを見守る。 「でも今は、こうして妃奈が隣にいてくれる。人生って判らないものだな」 彼は私を見返して、そう言うと口元を綻ばせた。 「さて、これからが新婚旅行だよ。心の準備は良い?」 彼は墓地の出口に向かいながら、腕につかまる私にそう言う。 「心の準備って?」 「俺に思いっきり甘やかされる準備さ」 「…いつも…そうだと思うけど?」 「何言ってるの? ハネムーンだよ? 砂糖10倍増しくらいだから、覚悟しておいて」
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