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その後また電車に乗り、降りた駅でレンタカーを借りた。
しばらく海沿いを走って、着いたところがこのホテル、という訳だ。
海にせり出した崖の上に立つ、まだ新しいこのホテルは、大きな建物はなく、一棟建てのコテージが5つ並んでいるだけのところ。
『大人の休日』がテーマの、コンセプトホテルなのだそうだ。
車でなければ来られない場所にあって、シーズンオフの平日の宿泊だから、今回は一番海側にある部屋が取れたそうだ。
フロント兼レストランの受付から一度建物を出て、ウッドデッキを歩き、白い漆喰壁に付いた重厚な木製の扉を開ける。
「なんか、ホテルと言うより、マンションの一室みたいだね」
入ってすぐのところに、カウンターを備えたキッチンスペースがあり、その向こうには大きなソファが置かれた広いリビング。
右手側に大きなダブルベッドがあり、手前がバスルームとトイレ。
都会のホテルと違って、敷地自体が広いのだろう。
「最近はグランピングも流行っているようだし、ホテルもどんどん個性的になってきてるね」
濃い茶色の床と、手塗りしたような漆喰壁の白さが対照的で、モダンな印象を与える。
天井に大きなファンが付いているのも、リゾートっぽくて素敵だ。
リビングの大きな窓から、海が一望できる。
さっそく窓を開けて、テラスに出てみた。
ここにも、ウッドチェアやテーブルが置かれている。
「あ~、贅沢だねぇ」
テラスの手すりに寄りかかり、海の風に吹かれながら、旅気分を満喫する。
ホテルの敷地から左手に緩く弧を描いて、切り立った崖が続いている。その下はもう海だ。
ホテルに着いたのが夕方近かったので、もう太陽は傾きかけているけど、日の光に海がキラキラと反射して見える。
「海に降りてみようか」
ホテルの敷地から直接海岸に降りられるよう、長い階段が下まで続いているのが見える。
荷物を広げると、とりあえずいるものだけを出して着替えた。
私はホルターネックの白いリゾートワンピ、所々に薄い青の花柄が入っている。
悠哉さんはアイボリーの地に、小さい錨モチーフが散ったシャツと紺のハーフパンツ。
「短いの履いているところ、初めて見た」
「そうだっけ? まあ、マンションは冷房入れちゃうから、こういうのは履かないからな」
彼は私に近寄ると、「似合うよ」と言い、腰を抱き寄せ、裸の肩に軽くキスをした。
このワンピースは今回の旅のために、彼がまた『大人可愛い服』のサイトで選んで、プレゼントしてくれたものだ。
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