死神の来訪

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死神の来訪

 僕の名前は高橋翔、自慢じゃないが僕には浮田未祐というとても可愛い幼馴染がいた。  え?なんでいたかだって、彼女はもうこの世にいないからだ。  僕と未祐は小学校から家が近所でよく一緒に遊んだりしていた。 「翔ちゃん!今日は何する?」  昔からとても元気でいつも僕は未祐のペースに振り回されていた。  中学にあがってもそれは変わらなかったけど、彼女はとても可愛くなり、僕はその辺りから未祐の事を女の子としてすごく意識するようになった。  単刀直入に言うと好きになった。  同じ高校に進学する事になっても僕はなかなか告白できずに悶々とする日々を送っていた。  夏休み前に近所の花火大会に行く約束をして、もうそこで告白するしかないと決意したが、彼女は所属する女子バスケ部の合宿からの帰りにバスの事故に巻き込まれそのまま帰らぬ人となったのだ。  こんな事になるならもっと早く告白しておけばよかったという後悔と共に彼女にひどい事をしたという後悔もあった。  実は合宿直前、僕は夏期講習の帰りに偶然未祐を見かけたんだけど、同級生の男子と一緒に歩いているのを目撃してしまったんだ。僕は未祐に彼氏ができたんだと思うと同時に、彼氏がいたならなんで僕と花火大会に行くんだという怒りとも悲しみが入り混じった感情に襲われ、理由をつけて花火大会の約束をキャンセルした。 「ごめん、花火大会の日、ちょっと、その……用ができて、行けなくなった……」 「待って!翔ちゃん、前はそんな事言ってなかったじゃない!」 「だから急にできたんだよ!それじゃあ……」  
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