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「うああああああ!」
手を掴んだ瞬間に聞こえてきた叫び声は、山の奥にある祠の向こうの岩が積み上げられた向こう側。
貼ってあった札が千切れ、岩が砕かれる。
手を引き寄せれば、俺の身体の中にあるモンがピカリと光った。
姿を現したのは、小さい癖に獰猛な赤色の目をした動物。
人でも妖怪でも化け物でも、ましてや神でもない。
混沌の象徴と呼ばれ伝説とされた天に等しい力を授かりし存在。
尖った耳に長い爪。
それでも分かる。
俺の片割れ。
その身体に巻きつけたのは、龍になった俺の身体。
小さな首に牙を立てれば、全てのパワーを牙が血と一緒に吸い上げる。
やっと分かった。
コイツは俺のだ。
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