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call
朝早くからうるさく鳴り続ける電話の音に、俺はたたき起こされた。
日曜日だというのに時計を見ると、太陽が顔を出したばかりのまだ七時である。
早い。早すぎる。
冬の部屋は、壁までもが氷のように冷たくなり、寒さを一層漂わせる。
「くそっ! 暖房早く直せばよかった」
布団にくるまったまま、今も鳴り続ける受話器に耳を近づけた。
「はい、苑田探偵事務所で……」
「――く! ――けてくれ!」
怒鳴りつけるような大声で切迫感に押された感じの、青年くらいの男の声だった。
「妻が! 僕の妻がいなくなったんだ!」
家出か? あまりの緊迫した感じに、俺は唾を飲み込んだ。
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