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「いなくなった。はて、いつからですか」
「今朝だ! 目が覚めたらどこにもいないんだ!」
朝早くから妻がいないからとは、一体どういうことだ? ごみ捨てや近所の井戸端会議に花が咲いているだけではないのか?
男の声色に俺は、なぜかほんの少しの違和を感じていた。
「すぐに帰ってくるとは思いませんか? 女性が朝外に出ていることはよくあることですから」
「そんなこと、ある訳がない! いいから早く! 今すぐに見つけてくれ!」
焦りと不安が織り交ざった、怒りにも似た感情を声に乗せながら話す男の必死の訴えに、俺は仕方なくしばらく耳を傾けた。
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