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「光沙、ホント同情する。……負けないで、あたしは味方よ」  桃子が横から私の腕をギュッと握って極限まで潜めた声で囁くのに、頷いて感謝を示す。  ありがとう、桃子。嬉しい。  声高に周りの連中と喋ってる仁科には届かないから心配しなくてよさそうね。  私はともかく、桃子がクラスで居心地悪くなるのだけは避けたかった。  入学して出会って以来、なぜか私がお気に入りらしい仁科 司。  陽気で男女問わず人気があるみたいで、そういう彼に好かれるのが迷惑だなんて私の本音は誰にも通じない。  唯一理解してくれたのが桃子だった。  高校時代、似たような勘違い男とそいつに加勢する奴らに苦労した経験あるって教えてくれたから。  もともと私は無神経な、こちらの意向お構いなしに距離詰めてくるような人間が苦手なんだけど、こいつは本当に鬱陶しいことこの上ない。  好きなら何でも許されるの?  それ、いったいどこの国のルールよ。私は知らないわ。
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