好き、だから

【２】

「傍から見たらどうしようもない親バカのバカ親かもしれないけど、あたしは今も感謝してるんだ」

「バカ親じゃないでしょ！　いい親じゃん。もし自分の親が『それくらい』とか『好かれる方がいい』なんてふざけたこと言いやがったら、私は軽蔑するし」
　社交辞令でも何でもない私の本心からの台詞に、桃子がふっと安心したように息を吐いた。

「ありがとう。あたしもそう思ってるよ。ただ、そう感じた奴らも多いんだろうな、って話」
　桃子が地元離れてこの大学に来たのも、もしかしたらそのあたりが影響してるのかもしれないな。「ここ来たかったから」って入学した頃に口にしてたのも嘘じゃないんだろうけど。

「あたしの母校、私立の進学校だからさ。『受験』を理由にするのが一番効果ありそうだって親が」
「それですぐ解決したの？」
　私の不躾な問いにも、頼りになる友達は笑いながら返して来た。

「学校側が相手の男や周りの奴ら呼び出して、『すぐにやめないと処分も考える』って通告したそうよ」

　そっか、学校もちゃんと対応してくれたんだ。本当によかった。